Professor Column
教員コラム

21.大竹光寿(経営学科):新入生へのメッセージ
– 知的トレーニングの場としてのゼミナール –

経営学科専任講師 大竹 光寿

「大学は、仲間との出会いの場のみならず、知的トレーニングの場でもある。ものの考え方のセンスを磨くために、講義やゼミナールを活用する」

大学において貴重な4年間を過ごす意義とは何か。

この問いについて、新入生のみなさんは、どのように考えるでしょうか。語学力を磨く、部活動やサークル活動に参加する、就職に関わる資格を取得する、といった漠然としたイメージを抱いている学生も多いでしょう。けれども、多くの学生にとって最後の学生生活となる大学での学びには、他の機会では得ることが難しいものがあります。それは、単に何かを知っているという意味での知識だけでなく、ものの考え方のセンスや洞察力といった言葉で語られる、物事の本質を見抜いて他者に伝える力です。この力は、将来、自分が所属する組織やそれを取り巻く環境について考え、何らかの課題を抽出し、その課題について周りを巻き込みながら解決していく際に必要となるでしょう。

 もちろん、専門分野における基本的な概念やその意味、それらのつながりに関する知識を身につけることは重要です。なぜなら、そうした知識は、その分野における共通の言語であり、何かを構想する際の土台となることが少なくないからです。大学には、このような知識を身につけることに加えて、時間を十分にかけながら、ものの考え方のセンスを鍛える場が用意されています。それが、3年生から始まるゼミナール(演習)やその準備として経営学科に用意されているワークショップです。

 以下では、この2つの場で実際に学んできた2人のエッセイをご紹介します。みなさんと一緒に学べることを楽しみにしております。

ワークショップ (3年生:瀧澤さん)

私が2年生の時に所属していた大竹先生のワークショップでは、4~5人の班に分かれて、毎回の授業でプレゼンテーションを行いました。班ごとに振り分けられた課題図書の一部分を読み、その内容を要約したものと、事例分析をパワーポイントにまとめ、発表するというものです。

事例分析とは、述べられている論理や筆者の見解から、自分の身の回りにある企業が行っている事例をあげるというものです。事例を見つけると、本の中の2Dだった論理が、3Dでリアルに見えてきて、とても面白く、理解が深まりました。

私たちのグループでは、まず全員が、担当となっている箇所を熟読し、要約の部分を発表する人、事例分析を発表する人に分かれて準備しました。全員で集まり作業することが難しかったことからこのような分担の仕方をしましたが、出来上がった発表原稿やパワーポイントをメールで共有しチェックしあったり、最初に個々に事例を考えてきて話し合い、グループ内で1番適切だと思った人に発表をしてもらうなどの工夫をしました。一人ではなくグループで準備をすることにより、優れたパワーポイントや発表原稿を作ってきたメンバーから学んだり、互いに改善点を指摘しあうことができました。また、自分が発表するところだけでなく、皆で共通認識を持って、全体を意識して準備することの大切さを学びました。

プレゼンの後は、先生や他の班の学生から意見を聞く時間があり、私は、事例を細かく調べて発表した時、パワーポイントに書いてある量が多くてわかりにくいとの指摘をもらいました。自分では深く理解しているはずなのに、相手に明確に伝えることは難しいと感じました。このように意見交換をし合いながら、「相手に伝わるプレゼンとは何か」についても互いに学ぶことができました。

以上のように、ワークショップで学んだ様々なことを、今後のゼミや社会人になったときに生かしていけたらと思っています。

ゼミナール 4年生:井上君

大竹ゼミの主要学習内容は「マーケティング」です。授業では毎回2グループがそれぞれの担当範囲をまとめ、プレゼンテーションをします。その中で工夫されている点としては、①毎回違うメンバーとグループを組んでの資料作成、②プレゼン評価制度、の2点です。グループは毎回ランダムで組まれ、出来る限り、組んだことのない人同士が組むように調整します。

初対面の人が多い大竹ゼミにとって、仲間同士のコミュニケーションや団結はとても大切であり、この発表グループを編成することによって、仲間の距離が縮まっていきました。グループ内でさらに担当範囲を決め、アドバイスをし合い、Power Pointを使用することが上手い学生が、苦手な学生に使い方を教えるといった場面も見受けられました。また、分からない言葉や内容はグループ全員で考え、それぞれの学科で学んだ内容を共有できる点も大竹ゼミならではの良さです。そして、プレゼンテーションに対して聞いているゼミ生からフィードバックを行う制度があります。フィードバック用の用紙があり、そこには、良かった点・改善点・質問が書き込めるようになっています。このシートを導入したことにより、プレゼンの質が向上し、聞く側も集中して聴くようになりました。これら二つの工夫により、ゼミ生同士が互いを助け合い、成長し合う習慣が出来ています。

私は大竹ゼミで学んだマーケティングの知識を活かす場としてビジネスコンテストの出場と学生団体の運営を行っています。昨年度参加したコンテストの中にJTB主催の「学生新規事業提案コンテスト」というコンテストがありました。その中で、大竹先生の講義とゼミで学んでいるマーケティングの内容を活かすことが出来、ゼミ生と大竹先生にも協力をして頂いてプランニングを進めることが出来ました。結果としては予選を全体2位で通過することができ、決勝では4位という成績をおさめることが出来ました。

また、所属している学生団体ではプロジェクトマネージャーとして、イベントの企画や運営・広報をする際にマーケティングのフレームワークを活用しています。このように、マーケティングをゼミと講義で学ぶことによって、その知識を課外活動に活かすことが出来、成功させるために先生とゼミ生が協力してくれる環境があることが、大竹ゼミの一番の良さだと思います。

私たちは大竹ゼミナールの1期生です。何でも取り入れることができ、挑戦をする環境があります。学びたいことを学ばせて貰える環境があり、応援し合う仲間もいます。「マーケティングの重要性」だけではなく「主体的に学び、協力し合うことの楽しさ」を大竹ゼミナールでは学ぶことができ、その学びは一生の財産になると思います。これからも、これらの学びを大切にし、最高の一期生だったと思えるようなゼミにしていきたいです。