Field Study of
Economics Department

経済学科のフィールドスタディ

2013年度 <中国FS> 学生報告3

今回、フィールドスタディでは工場見学や中国で働く日本人の方々に会う機会が沢山あった。

北京では北京現代の自動車工場見学を行い、細かい部品から自動車が出来上がっていく過程を見ることができた。テレビでは見たことがあったがその場で見ることは初めてで、ハンドルやドアが次々と付けられていく光景がとても面白く、自動車に対する興味がさらに強くなった。また、自動車が出来てからも水漏れや走りに不備がないか、テストを10日間ほどするという。テストする場所の上には「生産性=競争力=未来」という文字が掲げられていた。その文字をみてさらなる成長を目指す日々の努力を感じることが出来た。この工場見学を終えて、自動車というと日本のトヨタが世界中で需要が多いが、デザイン性も生産性もかなりの高さを持ち、成長し続ける強さと未来が感じられた。

上海では、NHK上海支局長の奥谷さんと座談会や上海での仕事についてのお話を聞くことが出来た。そのなかでも上海支局の方が取材した「留守児童問題」についてのお話が印象に強く残っている。以前、テレビ番組で取り上げられていたこともあり大体の状況は知っていたが、実際の子どもたちの表情や現在の状況を知り思っていた以上に深刻な問題だと改めて考えさせられた。政府の働きはその場を訪問し、問題に対し意識を向けているといるアピールだけに留まり、改善にはあまり進んでいないという。

上海支局に近いカフェでの座談会の後に、気になることを直接奥谷さんに伺ってみた。「留守児童問題」とはまた違い、「子どもを連れ去り、家の仕事をさせて自分の子どものふりをしている」という事が長い間起きている問題についてである。実際に今でもその問題を解決するにはかなり難しいというお話を聞いた。連れ去り、自分のもとで働かせるだけでなく他者に売る人もいるという。この問題についても以前テレビの番組で見たことがあり、その詳しい状況を知っておきたいと考えていたこともあり、今回の座談会はとても充実したものになった。

上海のヤクルト工場の見学は自分自身にとって身近な企業ということもあり、強い関心を持って見学をすることができた。しかし、身近な企業のも関わらず知らないことばかりで映像や詳しい説明を聞いて勉強になったことが沢山あったように思う。

そもそもヤクルトは当時の日本人の栄養不足による問題が多かったことから作られた。会社が掲げている「代田イズム」には三つある。①予防医学②健腸長寿③誰もが手に入れられる価格で、というものだ。これを知ったときには、古くから現在まで一線を走り続ける企業にはお客様に対する精神が大切にされていることが重要なポイントなのではないかと思った。ヤクルトは父が毎日飲んでいることもあり、冷蔵庫には常にある。今まではたまに飲む程度だったが工場で頂いてから気に入ってしまい、今では毎日飲むようになった。この経験によって身近な企業について知る楽しさを感じることが出来たので、これから先に生かしていこうと思う。

このフィールドスタディではこういった学習だけでなく、フィールドスタディならではの実際にその場に行ったからこそわかったことや感じとったことが沢山あった。中国に行く前は国に対するイメージが報道番組などにより、決してよくはなかった。しかし、実際に行ってみるとまた違ったイメージを受けた。

たとえば、車の種類である。トヨタが多いと考えていたが、ベンツやアウディなどの高級車が多く走っていた。だが、北京の人々は高級車に乗っていても関係なしに車が汚れていて驚いた。どちらかというと日本人は車を洗いたがる人が多いため、そういった部分でも国民性に違いが出るのだと思った。

中国と日本の違いだけでなく、北京、内モンゴル、上海、それぞれに違いが多く見られた。上記でも述べた車もその一つだ。北京にと上海くらべ内モンゴルの街の人々の車は汚れが目立たなかった。また、食事が最も違いを感じられた。味付けが北京と上海では大きく、上海は薄味ということもあり日本人の口には合いやすかった。内モンゴルは羊のよく食べるがそれには寒い地域ということで羊の肉は脂肪を燃やし身体を温められるからという理由があった。こういった習慣の違いも面白かった。

なによりも、フィールドスタディで重要だと感じたのは人との関わりだと私は感じた。辛い状況も一緒に乗り越えた仲間たち宋先生と以前より絆が深まったことや、中国で働く方々とお話出来たこと、北京大学の学生や先生、宋先生の家族の皆さん、各場所で案内してくださったガイドさん、バスの運転手さん、内モンゴルでのキャンプファイヤーと植林で出会った皆さん、今思い返すとものすごくたくさんの人と出会えて、関われたことが本当に大切な収穫だと感じている。言葉が通じなくても心で通じるもがあると知り、政治関係でいい関係でなくても私たちは仲良くなれると今回実感した。

この機会でなければ出来ない経験を沢山出来たことを感謝すると共に、今回の出会いで得たものを忘れずに過ごしていきたい。また、このフィールドスタディの仲間との関係を大切にしていこうと強く思った。