2013年度 教員によるフィールドスタディ報告 : 服部圭郎
世界遺産の町、ゴスラーの広場にて
2013年度のフィールドスタディDのテーマは4年連続で「ドイツ」。ドイツでも、テーマは「脱原発」そして「自立エネルギー」を中核に据えたフィールドスタディを実施しました。これは今、若い学生達にとって原発問題とエネルギー問題こそ喫緊、かつ長い将来に渡っての問題になると思われるからです。
なぜ、ドイツの事例研究で原発問題かと思う学生もいるかもしれません。それは、ドイツが今回の福島第一原発の事故でも極めて強く反応をし、また「日本人のような秩序を守り、かつ優秀な国民がいる国でこのような事故が起きてしまったことは、人類が原発を持てないことの証左である」という評価をしたこと。また、福島第一原発からの放射能シミュレーションを文科省がデータを持っていたのに公開しなかったのに、ドイツでは気象庁そしてシュピーゲル誌が公開し、また日本よりはるかに激しい原発反対のデモが行われていることなどからです。
ドイツはEUの中でも環境政策に積極的に取り組み、化石エネルギーからの脱却、住宅における省エネルギー化の取り組みなどに先進的に取り組んでいるからです。福島第一原発の事故を受け、今後、エネルギー政策をどのように進めていけばいいのかを検討する必要がある我が国においても、ドイツは多くの知見を与えてくれる事例であると考えられます。このようにドイツというのは、ヨーロッパを理解するうえで極めて優れた切り口になると考えられます。
ドイツには9月3日から15日までの行程で訪問。ドルトムントの環境センター、レーテムでの100%エネルギー自立地域の取り組み、ゴスラーの世界遺産、ガルツバイラーの褐炭堀の現場などを視察しました。
9月3(火) | 成田空港 16時集合(第二ターミナル) 成田発 18:30 (CI0017) 台北着 21:00 台北発 23:30(CI0061) |
機中泊 |
9月4(水) | フランクフルト着 6:50 午後:講義:「ルール地方におけるIBAエムシャーパークのプロジェクトに関して」 講師:Jan Polivka氏 場所ドルトムント大学 |
ドルトモント |
9月5(木) | エコセンターでの講義 | ドルトモント |
9月6(金) | エコセンターでの講義 | ドルトモント |
9月7(土) | 休日(エクスカージョン) ドルトムントからハンブルクへ移動 |
ハンブルク |
9月8(日) | 休日(エクスカージョン) ハンブルク |
ハンブルク |
9月9(月) | ハンブルクからデュッセルドルフへ移動 | デュッセルドルフ |
9月10(火) | 講義+ボランティア | デュッセルドルフ |
9月11(水) | エコセンターで講義 | デュッセルドルフ |
9月12(木) | 露店掘り跡地への視察+ケルン視察 | デュッセルドルフ |
9月13(金) | デュッセルドルフからアムステルダムへ移動 | アムステルダム |
9月14(土) | アムステルダム発 14:15(CI0066) | 機中泊 |
9月15(日) | バンコク着 6:55 バンコク発 8:25(CI0066) 台北着 13:05 台北発 14:40(CI0018) 成田着 18:55 |
今回ドイツに訪れてみてわかったことは、エネルギーシフトに力を入れており、都市政策が日本と比較して進んでいるということである。ドイツのレーテムという町は100%再生可能エネルギーによって生活しており、町で使用する電力の全てをバイオマスや風力などを使い自給自足で補っている。レーテムでは実際にバイオマス発電を行っている場所を訪れたり、市民の方々の努力など貴重な話を聞くことができた。電力の自由化がされているドイツならではのことであるが、同じように日本でも過疎化が進む地域で再生可能エネルギーによる電力の自給自足が広まれば雇用も増加し地域活性化の手助けになるのではと感じた。またハーフェンシティという港町では、古い建物と新しい建物が並ぶ美しい景観が大切にされていた。街中には誰でも利用することができるバスケットコートが設置されており、広場では大道芸やコンサートなどが盛んに行われていた。公共事業に力を入れることで、閉鎖的ではなく開放的な空間を作り人々の賑わいを演出していた。
ドイツを実際に訪れ環境政策と都市政策を学んだことで、日本にいるだけではわからないことを勉強することができた。例えば、ドイツではペットボトルをリサイクルするとお金を貰える機械があり、その真新しさと楽しさ目当てでドイツ滞在中に友人とペットボトルをたくさん持ち歩いて町を散策したり、トンネルの中以外では電気が消える電車に驚いたりした。このようにドイツには私たち日本人にとって楽しんで行えるエコや発見がたくさんあった。これからの日本には何が必要なのか、フィールドスタディをきっかけとしてこれからも考えていきたい。