Field Study of
Economics Department

経済学科のフィールドスタディ

2015年度 <中国FS> 学生報告2

「百聞は一見に如かず」


上海浦東開発区にて。2015年度FSC参加者

12日間に及ぶ中国のフィールドスタディが終わった。私はよく海外に旅やボランティアで訪れたことがあるが、経済的な観点から都市と農村を考察し、さらには中国20年の急成長について現地での体験談を聞くなど、生の声に触れる、生きている経済を学ぶことは初めての経験だった。

中国という国に対してもイメージも大きく変わった。今までは人口多い、偽物、事故、臭いなど悪いイメージしか持っていなかった。しかし実際に現地に行き、そこで生活している同じ年くらいの若者と交流すること、またスーパーマーケットやデパートを視察することでそのイメージが変わったところもある。日本人に生まれ日本でしか生きてこなかった私にとってこの中国の広さ、人口の多さというのがイメージ出来ていなかった。日本の13倍ほどの規模で国家として運営している。漢民族が90%を占めているにしろ少数民族との共存も同時に行っている。中国の人にとって自国の中の文化や習慣、言語の多種多様な生活は昔から存在するものでそれを受け入れ外国人の私たちに説明してくれた。

また学生との交流でいかに日本の教育制度が中国に比べて整備されていないかを見せつけられた。中国の中高生は一日12時間以上の勉強プラス宿題を行い、大学の受験は受験戦争といわれるだけあって高校生の時には誰しも全力で学習に励む。大学生になっても勉強は続きアルバイトをする時間もないそうだ。だから娯楽として勉強の間で楽しめる日本のアニメなどが人気であった。同じ大学3年生なのに彼女たちは3か国語話し、私たちは日本語しか話せない。一緒にいった慶応生や東大生は同じくらい話せていたが、日本の場合は自分でやろうとするトップの人たちのみとなっている。私たちは将来この人たちと社会で戦い、さらには世界で戦っていかなければならない。もう学生はおわる中国家のせいにしても何も始まらないし日本人でも彼らのように世界と渡り合っていくために自分に力をつけてきた人はいる。現地の学生と交流する事で刺激をもらいのこりの学習期間に励みたいと思う。

中国はこの20年間で急激な成長を遂げた。日本が失われた20年といっている間に国土の広さ、労働人口の多さは最大の武器になる。持っていなかったのは技術とやり方だ。そこで多くの海外企業が中国に目をつけ進出した。私たちが観光、視察した中でも張家界にあったエレベーターはドイツの技術で作られた物であり、また中国最大の自動車のシェアを誇る会社も資本金50%と技術提供をドイツから受けている。多くの海外も技術やブランドが国内に入り流行を作った。日本のアパレル企業や自動車メーカーも多くの工場を中国国内に建設した。日本の場合ひと昔は中国で生産した商品を日本に向けて輸出し日本で消費していたが、日本の少子高齢化や購買力低下に伴い、中国で現地生産現地消費の形に切り替えた。中国では日本の所得よりも実質的には低いのだが購買力は日本よりも大きい。しかも物価はものによるがアパレル系の商品は約2倍にもなる。さらに天然資源による成金も多くいる時代ではとくかくブランドものがかっこいいという考えでブランド品を買いまくるお金持ちも存在する。要するにバブル時代であった。

学校で理論で学んだ事、知識としてしか頭に入っていない事に対し、実際の経営者や監督者に直接話を聞くという事、さらに企業視察では実際に日本のデパート企業の平和堂が湖南省に一号店が出されるときのリスクマネジメントについても話してもらった。
授業で海外投資マネジメントという科目を取っていたおかげで外国人がその土地ビジネスに進出してビジネスを始めるという事の難しさを学んでいたため実際の成功例のしかもその総経理つまり日本でいう社長である方からのお話は本当に勉強になった。日本企業が海外に進出する場合はまず現地市場調査を行い、現地パートナーを見つけてから行う。私が授業で学んでいた実際の例に挙げられていたのはユニクロのインドネシアへの進出時現地ですでに事業展開していた三菱商事との合併により成功した事例を勉強していた。今回の平和堂さんの場合の現地政府と行ったことに驚いた。もともと本社のある滋賀県が湖南省を姉妹関係があったため中国政府の方から中国湖南省展開を依頼され1995年1月に事業展開行った。そのときの資本金は7割が平和堂、3割が中国政府によるものであり、現地展開に必要な不動産、電流、リーマンショックによる被害対策のためのインフラなど政府による動きにより平和堂が現在湖南省に進出して20年も続きさらに4店舗の規模までに成長できた大きな橋渡しになっていた事を学んだ。平和堂を筆頭に今では多くの日系企業が内陸である湖南省にも進出している。

また平和堂の総経理の方への質問の返答、さらには大成法律事務所の方のお話でも出ていたが日本企業が進出しても従業員は中国の方が多い、そのため日本の販売仕法、教育方針ですべてを行おうとしてもうまくはいかない。例えば従業員を怒るとき日本では公衆の前で怒ることにより反骨心で改善成長を期待するが、中国の場合同じことをしようとすると逆効果になる。それは中国の習慣として人前で怒ることはその人のプライドを傷つける事につながり逆効果をもたらす。あるいは日本では20代向けのファッションブランドでそのまま中国でも同じ年代を狙った展開を行おうとしたが、中国社員は中国では30,40代に売れるといい実際にそうなった。つまり現地の価値観、習慣、ルール、法律、消費傾向などは現地社員の方が理解しており日本のそのままのやり方でやろうとすると失敗する。現在平和堂さんも4店舗あるが日本人社員は11名でありトップの次の人は中国人を置くなどその人材育成にも力を入れている。大事なのは日本のおもてなし精神と中国現地の考えを融合させてビジネス戦略を行っていくことである。