「中国フィールドスタディを終えて」
私たちは今回、北京、湖南省、上海の3つの都市を回った。日本と違ったそれぞれの都市の文化や生活様式、道路、食、ファッションなど五感を使って感じることができた。沢山の二度とない経験をし、いろんなことに目を向けることが出来た。
まず、特に印象の強い「食」と「交通」の面に関する日本と中国の比較をする。
このように日本とは全く違う様子が伺えた。そして、海外にでてみて改めて日本の良さも感じることが出来た。どこにいっても愛想のよい所、トイレに清潔感のあるところ。これらは今まで当たり前のように感じていたが日本特有の文化、気遣いであったんだと思い知った。中国は国土が広いため、建物、道路と最大限に国土の広さを利用していた。また長い歴史を持つ中国。その昔の歴史や文化をとても大切にしている国だと感じた。日本と中国それぞれにいい面をたくさん持っていると感じた。
次に、私は、フィールドスタディに参加する前の自分の中国に対する考え方や情報のとらえ方を間違っていたと、現在とても恥じている。正直な事を述べると、フィールドスタディに行くまでの中国のイメージと言ったら、①PM2.5の影響で空気が身体的ダメージを及ぼしそう ②所得格差問題、貧困問題 ③領土問題や過去の戦争問題により反日の人が大勢いそう。などあまりいいイメージではなかった。しかしながらこのイメージを覆される2週間弱であった。
まず、第一に空気汚染の点について。ニュースや新聞で見ていた中国の様子から、≪空気は霧がかかったように霞んでいて数百メートル先は見えず、道行く人のほとんどがマスクをしている。≫そのようなイメージを私は抱いていた。しかしながらいざ中国についてみると全く違う景色であった。マスクをしている人なんていなく、日本と変わらない光景で、特に湖南省はとても空気が澄んでいて、思わず深呼吸をしたくなるほどであった。この光景に自分を含め参加したメンバーみな驚いていた。
第二に所得格差問題、貧困問題について。回った3つの地域どこでも富裕層と貧困層の格差を感じた。しかしながらいい意味でも悪い意味でも想像をはるかにこえた格差問題がった。町並みは高層ビルが立ち並び、さまざまなブランドが軒を連ね、あらゆる国籍の人々がいきかい、一見として日本より豊かな生活を送っていそうな錯覚におちいった。しかしながら、駅のホームや商店街の裏道などをふと見ると沢山のホームレスの人が居た。特に物乞いをするお年寄りには何度もであった。初めての経験でとても驚いた。それまで物乞いに関しての知識はあったものの、実際目の当たりにする機会は1度もなかった。物乞いだけではなく、観光地のごみ箱を素手であさり食べ物や飲みものを探している姿はとても目に焼き付いている。この格差問題を解決する方法はあるのだろうか、帰国して少しだけ調べてみたがほとんどの確率で現状では難しいことが分かった。自分が日本という国に生まれ、なに不自由なく五体満足で当たり前に生活できることがどれだけ幸せであるか改めて痛感した。経済を学ぶ人間として、もっと貧困問題を学習しなければと思った。
第三に反日問題について。私はこの問題が一番気になっていた。すべての人が反日ではないと一概に言えないが、今回出会ったすべての人は私たち日本人を盛大に歓迎し受け入れてくれた。私たちが北京大学を訪問した日は、偶然にも中国では「抗日戦争勝利記念日」という戦争記念日であった。70年前の中国と日本との関係の歴史を示す重要な日に北京大学の方は心から私たちの事を歓迎してくださった。正直少し衝撃を受けた。こんな日に日本人を抵抗なく受け入れてくれたことに嬉しく感じた。
またプログラムの中で北京の戦争記念館を視察する機会があった。日本側からの視点ではなく、中国側からの視点で戦争を見るのは初めての経験であった。そこには、過去の残酷な人と人の殺し合いの様子が生々しく写真や映像で残されていた。生首の写真、死体の山の写真、泣き叫ぶ声が今にも聞こえてきそうな少年たちの写真、痩せ細った学生たちの写真。どれも衝撃的なものばかりで、胸が苦しくなった。思わず何度も目をそらしたくなった。私たち現代人はこの過去の戦争という歴史の記録を目で見て、様々な本当の知識を身につけていくことが、日中の相互理解への一歩であることを痛感した。
湖南省ではテレビ局への訪問はテレビ局側の突然の仕事の都合によりプログラムが急きょ変更になり湖南農業大学を訪問した。突然の出来事にも大学側は真摯に対応してくれた。教授をはじめとする生徒のみなさんは笑顔で迎えてくれ、私たちの為にフルーツの盛り合わせまで用意してくれていた。
交流していく中で私は日本人のイメージを聞いてみた。すると「礼儀正しい」「優しい」「おしゃれ」などプラスな面を答えてくれた。正直、私はそれまで日本人は中国人と言ったらマイナスな面しか思いつかなかった。そのとき自分の目で見ず、ただテレビやネットからの情報を信じ、それを鵜呑みにしていた自分のいままでの考えを恥ずかしく思った。最後に教授と2人でお話しする機会があったとき「うちの生徒たちは、日本に興味を持っています。また日本の素晴らしい所をたくさん知っています。だから誰一人として、日本に悪いイメージをもっていませんよ。」とおっしゃってくださいました。日本の真の姿を理解していると教えてくださったその言葉は嬉しくとても心に残っています。
このフィールドスタディを通して一番痛感したのは、ネットやニュースの情報の報道をすべてが正しいとは限らない。その情報のどこを切り取るかで世間のイメージは変わってくる。だからいろいろな面からみて、実際にその場所にいき自分の目で見ることで、真実を知ることが出来るということを学んだ。私は、日本人のたくさんの人が報道機関によって中国にマイナスなイメージを持っていることに対し、もったいないと感じるように考え方が変わった。だからもっと中国の良さを沢山の人に伝えたいと思った。自分が日中関係の架け橋のほんの少し一部分でもいいので関われたらいいなと感じた。
2週間弱という時間の中で中国のよさを沢山教えてくださり、改めて自分の考え方や学びたいことを見つめなおす機会を与えてくれた、宋先生をはじめとするかかわったすべての人々に感謝の気持ちでいっぱいです。もし、今回交流した学生さんが日本に来る際には、今度は日本のよさを沢山教えてあげたいと思う。それが日中の相互理解への一歩であると共に日本人が中国人にできる精一杯の恩返しだと私は思う。