Faculty of Economics
経営学特講(アントレプレナーシップ)2026 講演報告No.1

2026年6月1日

【ゲスト講演者】
 有限会社沼田 四代目
 沼田 行雄 様

【講義の概要】
 2026年5月21日、有限会社沼田(以下、(有)沼田)の四代目後継者である沼田行雄さん(以下、沼田さん)をお招きし、「中小ファミリー企業のアントレプレナーシップ」についてご講義いただきました。
 (有)沼田は、1981年に静岡県函南町に設立され、現在は三島市で事業を展開している家族経営のファミリー企業です。主な事業として、全国の宿泊施設、食事処を中心に和の食材を届ける「ヤマシゲ」と、消費者向けに無添加のだしを専門的に製造・販売する「おだし香紡」を展開しています。
 講義では最初に、沼田さんご自身の経歴についてお話しいただきました。大学卒業後から(有)沼田に入社するまでの間に、ITコンサルタントとして働いた後、留学を経験し、ビジネススクールでの学習を通して経営について学び、その後は戦略コンサルタントとして働くなど、さまざまな経験を積まれていました。
 次に、入社後の会社の事業や課題についてお話しいただきました。当時のおだし香紡の強みと弱みの分析やポジショニングを考え、行動指針を策定したうえで「日本一」の品揃えを目指しておだしを集め、だしについて発信する「まいにち、おだし。」というオウンドメディアを立ち上げ、ホームページや店舗のリニューアルをする、など、さまざまな取り組みをされていました。店舗運営においても、お客様に合っただしを提案する「おだしコンシェルジュ」の育成などの工夫をなさっていました。また、市内での知名度が低かったことから、地元のコーヒー店やイタリア料理店、Barなどの企業とのコラボにも積極的に取り組まれ、おだし香紡の知名度向上に尽力されていました。最終的には、新規事業への参入を拡大するのではなく、従来から扱ってきた「だし」という領域に特化し、その中で差別化を図るというポジショニングをとられていました。特に、出汁の種類や商品数を充実させることで、だし専門店としての強みをさらに高められていました。

【講義の感想】
 今回の講義を通して、沼田さんが後継者として伝統を受け継ぐだけでなく、自ら新しい価値を生み出そうとしている点にアントレプレナーシップが発揮されていると感じました。ファミリー企業、と聞いていたため、伝統的なお話がメインになるのかと思っていました。ですが実際にはそうではなく、時代の変化に合わせて新しいことへ積極的に挑戦されていて、そこがとても印象に残っています。また、沼田さんは単に新しい事業へ挑戦するだけではなく、「だし」というおだし香紡従来の強みをさらに伸ばしていくことに力を入れていた点が印象的でした。講義の中で、「弱みを強くするのではなく、強みをさらに伸ばす」という考え方について述べられていて、この考え方が出汁の種類や商品数を増やし、「日本一」の品揃えを目指すという行動につながっているのだなと感じました。
 これらのことから、伝統を守るだけではなく、今の時代に合わせてどのように広げていくかを常に考えて行動されていることが分かりました。伝統ある企業でも新しい挑戦を続けていくことが大切なのだと学ぶことができました。
 今回の講義で聞くことのできたお話を胸に、さらにアントレプレナーシップへの学びを深めていきたいと思います。