Faculty of Economics
経営学特講(明学卒業生たちのリーダーシップ)2025 講演報告No.2

2025年10月29日

【ゲスト講演者】
 税理士法人プレアス
 副代表 兼 東京支社長・税理士
 小池 俊 様(2010年経済学部経営学科卒)

【講義の概要】
 2025年10月21日、税理士法人プレアスの小池俊さんが「士業としての生き方」や「これからの会計業界の在り方」について語ってくださいました。本講義は、会計業界の現状と未来、税理士法人プレアスについて、リーダーシップの考え方、そして明治学院大学卒業生としての思いまで幅広く展開されました。
 まず、税理士の仕事内容について、独占業務(税務代理・税務書類の作成・税務相談)と、非独占業務(コンサルティング・事業承継支援・講演など)に分けて説明がありました。特に現代の税理士は、単に税金を計算するだけではなく、経営者を導く「専門家としてのリーダーシップ」が求められているそうです。小池俊さんは、税理士法人プレアスの収益の約65%がコンサルティング業務であることを紹介し、数字だけでなく「人と社会を導く力」が重要であると強調しました。
 また、会計業界の現状として、AIやITの進化、節税事案の増加、ライバルの多様化といった変化が挙げられました。数字を処理する仕事はパソコンに代替されつつあり、今後の税理士には「専門家として人を導くこと」が求められるそうです。つまり、「税理士だから」ではなく「自分だから」選ばれる存在になる必要があります。
 小池俊さんは、「簿記を知らないとマーケティングはできない」と述べ、会計の基礎がすべてのビジネスの土台であることを強調されました。さらに、中小企業のオーナーの支援や事業承継の手伝いなど、「税理士の仕事だけでなくその他でも求められる存在になる必要がある」とも語られました。
 講義の終盤では、リーダーシップとは「人間力」であり、変わり続ける勇気を持つことが大切だと説かれました。「変わっていることが長所になる」「失敗したことがない人は何も新しいことをしていない人だ」といった言葉は、学生に挑戦する大切さを教えてくださいました。また、小池俊さんは、「先入観は可能を不可能にする」という言葉を引用し、自分の限界を設けずに挑戦する姿勢の重要性を訴えられました。
 最後に、士業としての本質は「学び続けること」であり、肩書きではなく中身で勝負する時代が来ているとまとめてくださいました。税理士という職業を通じて、人と社会に貢献するという使命感が講義全体を貫かれていました。

【講義の感想】
 今回の講義を通して、税理士という仕事が単に数字を扱う職業ではなく、「人を導く専門家」であることを強く感じました。特に印象に残ったのは、「税理士だからではなく、自分だから選ばれる存在になるべきだ」という言葉です。AIの発達により、単純な計算業務は機械に置き換えられる時代が来る中で、人間にしかできない価値をどう生み出すかという視点は、どの職業にも共通して重要だと感じました。また、「変わっていることが長所になる」「先入観を捨てるべき」というメッセージも印象的でした。自分の個性を恐れず、失敗を恐れず挑戦する姿勢こそが、社会で生きるうえでの力になると改めて気づかされました。さらに、「簿記を知らないとマーケティングはできない」という言葉から、会計の知識がすべてのビジネスの基礎であることを理解し、今後の学びの方向性を考えさせられました。この講義は、税理士という専門職に限らず、「学び続け、変化に対応しながら人を支える」という普遍的な姿勢を教えてくれるものでした。自分の可能性を狭めず、どんなことでも挑戦し続けることを心がけていきたいと今回の講義を通して感じました。