2025年12月16日 経済学部
【ゲスト講演者】
日本BS放送株式会社 代表取締役会長
株式会社エフエム東京 社外取締役
齋藤 知久 様(1971年経済学部商学科卒)
【講義の概要】
12月9日(火)、日本BS放送株式会社の代表取締役会長で株式会社エフエム東京の社外取締役をお務めになっている齋藤知久さんが、『リーダーの変遷』というテーマでお話しくださいました。まず、経営者がその時代のスポーツ界におけるリーダーの思想を経営へ応用している例として、大松博文監督と森保一監督をご紹介されました。大松監督は全面的に引っ張るティーチング型、森保監督はゴールを明確に示し、プロセスは選手に委ねるというコーチング型のリーダーシップを体現しています。これらの比較により、リーダーの在り方が時代とともに変化していることが示されました。また、現在はコーチング型が主流となっていますが、状況に応じてスタイル(支援型・委任型・コーチ型・指示型)を使い分ける「状況対応型リーダーシップ」も重要であることが説明されました。
さらに齋藤さんは、大学卒業時にもっと勉強したいという想いと柔道を普及したいという2つの熱い想いを胸に、アメリカへ留学をされました。留学に行く前後に多くの努力を重ねたその経験から、「好きだと思ったことは情熱を持って精一杯やること。そうすれば自信になり、強みになる」「相手の文化・価値観を知ると、距離感は大きく変わる」という学びを私たちに伝えてくださいました。
その後、小西六写真工業株式会社(現コニカミノルタ株式会社)に入社された齋藤さんが、国内外の仕事やプロジェクトリーダーなど様々なことに取り組み、経験をされてきた中で、リーダーシップを発揮するために必要だと感じた4つの点を挙げられました。それは、①目標設定を明確にすること、②常に現場で起こっていることを把握すること、③専門知識を貪欲に勉強し、研究すること、④世の中の流れを把握するために情報をインプットすること、の4点です。これらは、会社の運営においてもゴールを明確にすることが重要であることを示すと同時に、私たちは実践的なリーダーシップについて理解を深めることができました。
さらに、齋藤さんが現在代表取締役会長を務める日本BS放送株式会社の事例も紹介されました。同社は設立当初は大きな赤字を抱えていましたが、社員と外部のスタッフを1つのチームとして捉え、明確なゴールを設定することで組織をまとめました。その結果、同社は、売上高100億の達成や東証1部への上場を果たし、経済誌に取り上げられるなど、外部からも高く評価されてきました。この事例から、明確な目標設定と組織における適切なリーダーシップは成果に直結することを理解することができました。
【講義の感想】
今回の講義を通して、リーダーシップとは生まれ持った性格や才能だけで形成されるものではなく、相手を理解しようとする姿勢や、学び続けることによって育まれていくものだと気づきました。
質疑応答の中で、「伸びる人とはどんな人か」という質問に対し、齋藤さんが「素直な人」と答えられていたのが特に心に残りました。素直であるということは、一見簡単なようで難しいと感じます。だからこそ、まずは相手からのアドバイスをそのまま受け入れる姿勢を意識していきたいと思いました。
また、「相手の文化・価値観を知ると距離感は大きく変わる。ほんの一歩の差。」という言葉に強く共感をしました。私自身、関わる機会のない方を無意識のうちに遠い存在のように感じてしまった経験があります。しかし、それは相手を知らないことがそのまま距離となってしまっていただけにすぎず、実際には壁は全くありませんでした。このように無意識のうちに持ってしまう偏見を、多くの文化や価値観に触れることで解消していきたいと思いました。
今回の講義で得た学びを胸に、齋藤さんのように人とのつながりを大切にしながら、自らの世界を広げていきたいと感じました。