Faculty of Economics
経営学特講(明学卒業生たちのリーダーシップ)2025 講演報告No.6

2025年12月18日

【ゲスト講演者】
 リゾートトラスト株式会社 エクシブ湯河原離宮
 中嶋 萌 様(2025年経済学部経営学科卒)
 野川 萌 様

【講義の概要】
 2025年12月2日、リゾートトラスト株式会社が展開するエクシブ湯河原離宮に勤務する中嶋萌さんと野川萌さんをお招きし、本学経営学科教授の北浦先生を交えて三者による対談形式でゲスト講義が行われました。まず会社紹介として、リゾートトラストの経営理念である「新天地開拓」と、企業姿勢を象徴する「信頼と挑戦」が説明されました。信頼があるからこそ挑戦でき、挑戦するものは常に“ハイセンス・ハイクオリティ”でなければならないという価値観が強調されました。また、グループアイデンティティとして掲げられる「ご一緒します、いい人生」という言葉が示すように、顧客と長期的な関係を築き、人生に寄り添うサービスを提供することを目指していることも紹介されました。事業は会員権、ホテルレストラン、ゴルフ、メディカル、シニアライフと多岐にわたり、約21万人の会員を抱える大きな企業であることが説明されました。
 続いて対談では、同社の主力ブランドである会員制ホテル「エクシブ」について解説がありました。特に湯河原離宮はエクシブの中でも上位に位置づけられる施設であり、会員権を所持していれば系列のどの施設にも宿泊可能であることが紹介されました。会員制ならではの深い信頼関係が特徴であり、質の高いサービスが求められる理由がここにあるようです。
 次に、お二人の学生時代から就職活動までの歩みが語られました。大学選びについては、中嶋さんは経営・会計・マーケティングを幅広く学べることから明治学院大学を志望し、野川さんは雰囲気の良さから産業能率大学を選んだとのことでした。
 就職活動では、両者とも3年生の6月頃から本格的に活動を開始したと話されました。ガクチカとしては、中嶋さんがサークルやアルバイト、野川さんがゼミ活動とアルバイト経験を主に取り上げていたそうです。また、選考の過程で学業内容を深く問われることは少なく、ゼミ活動について聞かれる程度だったようです。就職先としてリゾートトラストを選んだ理由は、中嶋さんは中学生の頃からホテル業界に興味を持ち、働く姿に誇りを感じられる企業だと判断したこと、野川さんは会員制の魅力と綺麗な空間で働きたいという思いが決め手になったとのことです。
 入社後の研修や働き方についても説明がありました。内定者アルバイトや宿泊研修を経て現場に配属され、朝食サービスやチェックイン業務など、ホテルスタッフとしての基本業務を担当しているそうです。働き方としては、連続勤務が少なく、希望休も比較的通りやすい一方で、年末年始は勤務が必要になるといった業界特有の特徴も紹介されました。
 最後に、学生へのアドバイスとして「やりたいことは全部やった方がいい」「SPIは早めに対策すべき」「幅広い業界を見ること」が挙げられました。また、リーダー像については、支える力のある人や周囲をよく見て声をかけられる人が求められると語られました。

【講義の感想】
 今回の対談を聞いて、まず強く印象に残ったのは、リゾートトラストという企業が掲げる「信頼」と「挑戦」という言葉が、単なるスローガンではなく、日々の業務やサービスの細部にまで反映されているという点です。会員制という仕組みは、お客様と長い時間をかけて関係を築くものであり、その信頼に応えるためには常に質の高いサービスを提供し続けなければなりません。だからこそ「ハイセンス・ハイクオリティ」という言葉が重みを持ち、働く人自身にも高い意識が求められるのだと感じました。
 また、エクシブの話を聞く中で、ホテルという空間が単なる滞在場所ではなく、「お客様の人生の大切な時間に寄り添う場所」になっていることを強く実感しました。湯河原離宮のようなハイクラスの施設であればなおさら、スタッフの振る舞いや細かな気配りがそのままブランドイメージにつながります。そのプレッシャーは大きいと思いますが、お二人の話を聞いていると、それを前向きに楽しんでいる姿勢が伝わり、サービス業の魅力を改めて感じることができました。
 さらに、学生時代の過ごし方や就職活動のエピソードは、自分自身にも重なる部分が多く、とても身近に感じました。特に「学生のうちにもっとやりたいことをやっておけばよかった」という言葉は、心に残りました。社会人になると時間の制約が増えることは何となく分かっていましたが、実際に働いている方の口から聞くと、その現実味が一気に増したように思います。今の学生生活をどう使うかを考え直すきっかけになりました。
 就職活動に関する話も非常に参考になりました。ゼミやアルバイトの経験がどのようにガクチカとして話せるのか、どの程度学業が問われるのかなど、実際の選考でのリアルな感覚は、ネット上の情報とは違う説得力がありました。また、ホテル業界と聞くと「忙しい」「休みが取りにくい」というイメージがありましたが、希望休が通りやすかったり連続勤務が少なかったりと、自分の中の固定観念が少し崩れました。実際に働く人の声を聞くことの大切さを感じました。
 最後に、リーダー像について語られた「周囲をよく見て声をかけられる人」「支える力のある人」という言葉が強く心に残りました。リーダーは前に立つだけでなく、周りの人が安心して動ける環境をつくる存在でもあるという視点は、今後自分がどの場面に立ったとしても意識していきたい考え方だと思います。
 全体を通して、この講義は単なる企業紹介ではなく、働くことの姿勢や人との向き合い方、学生生活の意味など、さまざまな角度から学ぶことができる非常に濃い時間でした。将来のキャリアを考えるうえでも、多くの示唆を得ることができたと感じます。