学位博士(経済学)
最終学歴慶應義塾大学 大学院 経済学研究科 博士後期課程修了
専門分野法と経済学、市場と組織の経済学
主要研究テーマ
主な社会的活動
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会 ハイヤー・タクシー業高齢者雇用推進委員会委員
(2019年4月1日から2021年3月31日まで)
法と経済学、ミクロ経済政策、初級ミクロ経済学、ゼミナール
日本経済学会, Game Theory Society, Society for the Advancement of Economic Theory, The Econometric Society, American Economic Association
法と経済学(法律・規範・慣習のゲーム理論分析)
学生の皆さんは、法律と聞くと、例えば、六法(憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法)等を想起するかもしれませんが、私たちの日常生活や企業活動を円滑にするうえで法律が欠かせないという認識では一致していると思います。1960代以降、主に米国で発展してきた、法と経済学は、どの国においても中心となるような法領域を分析対象としており、所有と財産権や不法行為に関する法、契約法、刑法、競争法・知的財産法や国際法などが研究されてきました。私自身は、ゲーム理論や価格理論といったミクロ経済学の分析手法を通じて、米国不法行為法の規範的分析、汚染行為者の汚染権あるいは公害被害者の公害を蒙らない権原についての取引に係る市場と裁判所の関係、組織における資産の所有権と組織内部の協力の関係を研究しています。
私は「法と経済学」を、法制度や法律の社会的パフォーマンスを評価したり、規範や慣習を含む法的ルールが市場や組織とどのように関連しているのかを明らかにしたりするための経済学として位置付けています。このような観点から、これまで3年ゼミでは、競争法の実際の運用とその法学的意義を経済学的に再検討することや、法制度のインセンティブ・デザインを議論するために、法学者や経済学者が書いたテキストを輪読してきました。また、4年ゼミでは卒論執筆に向けて、各自が興味ある法と経済学に関する研究テーマに即して、論文指導をしています。ゼミ生は、私が担当する「法と経済学1&2」を履修することが必須となっており、この科目履修を通じて、法と経済学の基本的な考え方を学ぶことになります。
2023年度は、法律、規範、慣習について、ゲーム理論(特にシグナリング・ゲームの理論)を通じて分析することをテーマにしたいと思います。使用するテキストは米国の法と経済学者のテキストの邦訳本である「法と社会規範:制度と文化の経済分析」(エリック・ポズナー著, 太田勝造監訳, 木鐸社, 2002年)を予定しています。法がない、あるいは法があったとしても実効性がない場合に、規範や慣習が、法の代替的あるいは補完的な存在として機能していると考えられます。このような法と代替・補完的な機能をもつ規範、慣習のメカニズムを情報のゲーム理論の有益なツールの1つであるシグナリング・ゲームを通じて、分析します。法が人々に与える影響を理解するうえで、規範や慣習が人々に与える影響を理解することは欠かせないと言えるからです。
現実の法律、規範、慣習が人々や社会に与える影響やその相互作用に関心を持ち、またゲーム理論の応用にも関心がある、学生の皆さんの参加を歓迎します。