2026年7月13日 経済学部
【ゲスト講演者】
株式会社ヤッホーブルーイング
清水 俊介 様
【講義の概要】
今回の講義では、株式会社ヤッホーブルーイングの清水俊介さんを講師に迎え、「よなよなエール流競争戦略」をテーマに、企業が競争優位を築くための戦略について学びました。
まず、戦略とは「競争上必要なトレードオフを伴う一連の活動を選び、一つの戦略的目標に向かって活動同士のフィット感を生み出すこと」であると説明されました。トレードオフとは、何かを選ぶ代わりに別のものを捨てることであり、戦略の本質は「何をやらないか」を決めることにあると学びました。また、活動同士が結びつき、相乗効果を生み出す「フィット感」を高めることで、他社が模倣しにくい競争優位を維持できることを理解しました。ヤッホーブルーイングは、このような戦略によって業績を伸ばし、2020年にはポーター賞を受賞しています。
ブランド開発では、「100人に1人に狭く深く刺さるブランドをつくる」という考え方を重視していることが紹介されました。幅広い層に受け入れられる商品を目指すのではなく、特定の人に圧倒的に支持される商品を目指すことで、独自の価値を生み出しています。その代表例として「水曜日のネコ」が紹介されました。30歳前後の働く女性をターゲットとし、ライフスタイルや価値観まで細かく設定した上で商品開発を行っています。また、「水曜日」という名前には、一般的にビールがよく飲まれる金曜日ではなく、週の真ん中にリラックスしてほしいという思いが込められており、あえて多くの人を狙わないというトレードオフが行われていました。その結果、「100人に1人に深く刺さる」ブランドとして大きな成功を収めています。
また、組織文化についても紹介していただきました。2008年当時のヤッホーブルーイングは、社員数約20人で、他人任せな姿勢やコミュニケーション不足など、多くの課題を抱えていました。しかし、経営理念を軸とした「ガッホー文化」を築き、役職や年齢に関係なく意見を出し合えるフラットな組織づくりを進めてきました。社員同士の理解を深め、お互いの強みと弱みを活かしあいながら成果を生み出すための仕組みを整えてきました。その結果、現在では「働きがいのある会社」ランキングで10年連続ベストカンパニーに選ばれるまでになっています。
さらに、ヤッホーブルーイングの競争戦略の特徴である「活動間のフィット」についても学びました。独自の組織文化、個性的なブランディング、熱量の高いファンとのつながりが互いに影響し合い、相乗効果を生み出しています。フラットな組織文化があるからこそ独創的なアイデアが生まれ、ブランドがあるからこそ社員は自信を持って行動でき、ファンとのつながりが社員のモチベーション向上にもつながっています。このような活動同士の結びつきによって模倣がさらに難しくなり、競争優位が維持されていることを学びました。
【講義の感想】
今回の講義を通して、私は「何をするかだけでなく、何をしないかを決めること」と、「一人ひとりの強みを活かす組織づくり」の大切さを強く感じました。
特に印象に残ったのは、ヤッホーブルーイングの「100人に1人に狭く深く刺さるブランドをつくる」という考え方です。「水曜日のネコ」の事例を通して、すべての人に好かれることを目指すのではなく、あえてターゲットを絞り、一部の人に強く支持されることが大きな価値につながることを知りました。また、「何をしないか」を決めることが独自性を生み出すという考え方は、企業だけでなく、自分の生き方や将来の選択にも通じるものだと感じました。
また、ヤッホーブルーイングがフラットな組織を大切にし、コミュニケーションに時間をかけながら、一人ひとりの強みを活かしていることも印象に残っています。効率だけを考えれば、議論に時間をかけることは遠回りに思えるかもしれません。しかし、お互いを理解し合い、納得感を持って仕事に取り組むことで、より大きな成果につながるという話を聞き、良いチームをつくるためにはコミュニケーションが欠かせないのだと感じました。私自身も、グループワークや部活動などで意見をまとめることの難しさを感じることがありますが、相手の考えを理解しながら協力する姿勢を大切にしていきたいと思いました。
この講義を通して、自分ならではの強みや個性を活かして価値を生み出すことの可能性を学びました。これからは、自分の弱み、強みどちらとも向き合い、活かせる場面を見つけながら、自分らしい価値を発揮できるようになりたいと感じました。