Field Study of
Economics Department
経済学科のフィールドスタディ

2013年度　＜中国FS＞　教員報告

2013年度 教員によるフィールドスタディ報告 : 宋立水
2013年度フィールドスタディC実施報告

内モンゴルの大草原訪問

グローバル化による国際的な相互依存環境下にある経済社会で発生する様々な複合的経済問題の起源、変遷、特質と解決必要性を多層的多元的に理解し、それらの解決に対して主体的に関与できる人材を養成することは、今日の大学教育に対する社会的要請となります。

フィールド・スタディ(現場観察、現地研究)科目は、このような背景の下で、2002年から導入した。フィールド・スタディ科目の設立は、現場での問題発見、現場での問題意識、現場での問題構築、現場での仮説構築などを通して、学生たちの問題検証・仮説検証のための経済学理論への追求動機を刺激し、経済学理論学習の効果を高めることを期待したい。

フィールド・スタディCは、中国社会と経済の現地調査科目として、経済学部と北京大学との間の協定により、北京大学と共同運営する教育科目として2002年からスタートした。以来、今年は10回目の実施となりました(2003年と2008年は休講となったため)。

2013年度のフィールド・スタディCプログラムの内容については、主に次の三つの部分からなりました。すなわち、①北京大学を拠点とし、中国の政治、文化、経済の中心である北京地域での考察、②近年来経済成長率の一番高い内陸部の内モンゴルへ行ってモンゴル族の生活・文化・風俗及び少数民族地域である内モンゴル地域の経済事情についての考察、③現代中国の経済発展及び国際化発展の象徴である上海での考察。

北京滞在中、北京大学の施設に泊まり、学生との交流の他に、北京の街を歩き、工場を考察し、世界文化遺産も見学した。なお、日本銀行北京駐在事務所を訪問し、北京駐在の専門家より中国経済の現状及び課題について講義をしていただきました。

内モンゴルの日程は非常にハードで、砂漠と草原を駱駝や馬に乗って走ったり、モンゴル族住民との交流をしたり、また、植樹をしたり、中国の乳製品大手の蒙牛集団の工場を調査していました。内モンゴル首都のフフホトは町の規模が想像以上大きく、町全体は大工事現場のように開発が行われているような印象でした。そして、大草原には、悠々としている牛馬と一体となっているのは、広い緑の大草原の上に数えきれない数の白い風力発電車の大きい白い羽が青空に林立しているという壮大な風景であり、場所によっては先見えないほどの広い太陽光発電パネルが一面となったという風景は忘れなれない。中国はすでに世界で最大に風力発電力を持つ国になっている。

上海では、市場調査、日系のヤクルト上海工場を調査・考察し、NHK上海支局へ訪問しヤクルト上海工場の工場長及びNHK上海支局長との懇談も行われた。

長い歴史を有し、地理的、文化的、経済的、民族的には多様性がある中国を複眼的で、そして、静態的にではなく動態的に観る感性を持つことは、もっとも要請されている、という奥谷支局長の話は、学生たちに最も印象を残した言葉であり、今回のフィールドスタディC授業に参加している学生にはきっと得るものが多かったと思おります。